ウェットスーツが出来るまで
型紙の制作
採寸された数字をもとに、全身のバランスを考えて、立体の型紙を制作してゆきます。場所によって極端に凹凸のきついかたや、筋肉量が多いとか、体重がおもいかたは、ある部分を数字よりも多くとったり、猫背、いかりがたや、首が横にはっているかたは、型紙のテンプレート自体を変えたり、色々な取り方をしています。
又、立体のダーツの取り方と場所で、体のしっくり感や、足の向きや、長さの数字がかわります。立体裁断は、最終型が無いです。
お客様に、出来るだけ長い間笑顔で着て頂けるものをコンセプトに、生地選びから、生地のくせを把握して、型紙を作ります。
生地の裁断
パーツごとに、伸びる方向を考えて、型紙を生地に置き、マーキングします。生地の厚みや、カーブの形状によって、円形カッターの刃のサイズを変えたり、たちばさみを使ったりしながら、ライン通りにきってゆきます。
マーキング・ひざパット・補強用パッチ・マジックテープのプレス
裁断したパーツを、プレス機(大きなアイロン)にかけます。パーツの材質に合わせた、時間と温度と圧力で、付けてゆきます。熱でプレスしたあと、台下のバキュームペダルを踏み、瞬間的に糊を冷やして、固めてしまいます。冷やすのが、ポイントです。
挟み込むタイプですが、最終的に面に対して垂直におりてくるタイプですので、生地にかかる圧力は均一となるHASIMAの平型プレスです。
プレス後の行程は、ファスナーを縫い込んだり、プレスしないマジックテープを縫い込んだりします。
ファスナー部分は、JUKIの2本針で縫います。このミシンは、角を曲がる時に片針が静止しますので、斜めの糸が残らず美しく角を作ります。
生地の接着
最も重要な行程です。まず、接着剤は、接着面が固くなりすぎたり、はがれやすくならない様に配合します。温度や、湿度によっても変化しますので、経験が必要だと思います。
今まで、何種類もの接着剤をテストしてきて、一番安定したものを使用しています。外部からは、一番見えない所であって、この作業の善し悪しでウェットスーツの寿命も変わってきます。
1パーツ1パーツ丁寧に断面を塗り、立体にはりあわせてゆきます。
縫製
ウェットスーツの縫製の メインとも言えるミシンです。接着した部分を、一本の針が斜めに入り、針先に出た糸をルーパーが引っかけ、編み物の様に進んでゆきます。このミシンは、下糸が無いため、生地が伸び縮みした時に、縫い始めの糸がほどけ易いので、きちんと結ばなければなりません。勿論、縫い終わりの糸も結んで見えない様にかくします。
生地や、縫う場所によってテンションが変わりますので、糸の強弱を調節したり、右足の押さえペダルで深さも調節します。
1.5ミリの薄物から、8ミリの厚物まで、美しくステッチします。
2ミリのカーブも 同じピッチです。
ウェットスーツの最終行程
スーツに付いた汚れを、裏表 奇麗に拭き取ります。
裏返しにして、カットオフの部分や、カーブのきついパーツが合わさる場所、何パーツもの生地が1点に集まる場所を、パッチやテープを使って補強してゆきます。